【ネタバレ】『シン・仮面ライダー』感想

昨日3/18の土曜7時から、IMAXで『シン・仮面ライダー』を観てきました。早起きはツラいが、キッズが寝てるうちに観に行くことで気持ちはラクなのでこれからデフォルトになる予感がする

 

■総評:みんな同じことを言ってる気がするが、「私は」好きな映画だよ!

【映画 ポスター 】シン・仮面ライダー 2023年3月17日 “仮面ライダー生誕50周年企画作品” 監督庵野秀明 主演 池松壮亮、滨边美波、柄本佑、冢本晋也 画用紙&木製フレーム アートパネル 壁絵 モダン 絵画 インテリア絵画 壁アート 壁掛け絵画 宣伝ポスター 印刷物(並行輸入)現代美術(40x60cm-フレームレス)

 

1960年生まれで62歳の庵野秀明監督が、幼少期にリアルタイムで観ていたであろう仮面ライダー、そのときの感動をそのまま伝えたいという思い……庵野秀明作品直撃世代であるけして若くはない世代の私のようなオタクには、今ひとつピンとこないというのが正直なところではないか。
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オタクとして庵野秀明監督が真に偏愛しているのはウルトラマンらしいという知識があるため、仮面ライダーについては一歩引いて作ってくれるのではないか、庵野秀明らしい傑作が拝めるのではないかという淡い期待をしていたが、見事裏切られた感がある。

庵野秀明仮面ライダーもめちゃくちゃ好きだな!全然客観的になれてねぇな!!」

 

■ストーリーについては特に言うことがないんや……

マジで「いつもの庵野秀明」なんですよね

悪い意味ではなく、本当に庵野秀明はこういうのが好きなんやな、三つ子の魂百までとなるやつ

個人的には物足りないが、様式美として割り切って語りたい人に任せたいと思います。

この作品の本領は庵野秀明レイアウトと初代仮面ライダーを踏まえたディテールだと思うので、そちらを楽しみたいと思います。以下は小ネタとツッコミ

 

■ナンバープレートに向ける異様なこだわり

冒頭から違和感のあるレベルで敵のトラックとサイクロン号のナンバープレートを強調したカットが入り、その後もちょくちょく不自然にナンバープレートを入れたカットが挟まれていく。

私は初代仮面ライダーを観たことはないのだが、おそらく当時の庵野秀明少年はテレビを観ながら(ショッカーは悪の組織なのになぜナンバープレートをつけているのか?仮面ライダーも身元がわかるようなものをなんで?みんな車検受けてるのか?)とツッコんでいたんだろうね………知らんがな!!

(私も多摩ナンバーの悪の組織っておもしろいよな、となってはいたけど)

 

■いちばん笑ったポイント

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双眼鏡を持つ人工知能ケイ、きみはズーム機能ないんか?

 

■三度現れる竹野内豊

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庵野秀明は自分をイケメンにしたら竹野内豊になると思っていて、擬似的なカメオ出演なのかもしれない

 

■実質ニンジャスレイヤー

ニンジャスレイヤーの元ネタのひとつが仮面ライダーなんだろうが、ミームは上書きされるもので、(これで爆発四散したら完全にニンジャスレイヤーだな……)と思っていたら終盤の量産型ライダーが爆発四散しだして完全にニンジャスレイヤーになった

 

■茶髪の柄本佑デイリーポータルZの玉置さんに似ている


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実際そっくりだと思う

 

■ろくでもない幹部しか出てこないので死後に上昇するクモオーグさんの株

クモオーグさん、殺人嗜好のサイコパスキャラだったのに、続々登場する幹部が全員社会性皆無なので、実は組織人として有能だったんだろうな、カマキリカメレオンくんも他にまともにコミニュケーションとれる先輩がいなかったんだろうな……となった

 

■緑川イチローこと森山未來はめっちゃすごいダンサーである

取ってつけた感のあるラスボスだが、森山未來の所作の美しさでなんとか乗り切った感がある

合気道と舞踊を組み合わせたような格闘シーンは覚悟のススメの散さまを想起させてカッコ良かった

が、最終的には取っ組み合いになるバトル、レッドマンみたいだったな……庵野秀明的にはカッコいい殺陣だけではなくカッコ悪いところも含めて特撮の素晴らしさだと考えていて、それを我々にも理解してほしいんだろうな……知らんがな!令和だぞ!良いところだけでいいだろ!

 

■まとめ リメイク作品の限界について

『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』への個人的な今ひとつ感も、庵野秀明自身が明確に理由を言語化しており、パンフレットから引用したい。

自分にできる恩返しは、ATAC等で過去作の資料保存と啓蒙活動に加えて、「新作」を作ることでオリジナル作品を自作で越えるのではなくオリジナルの魅力を社会に広げ、オリジナルの面白さを世間に再認識して貰う事でした。(P29)

オリジナルが至高であり、リメイクはそれを超えるために作っているわけではないとはっきり言われると……その作品単体では物足りなくなるのは当然だろう。オリジナルに思い入れのあるファンからは理想的な姿勢に感じられるかもしれないが、そうではない消費者には知ったことではないというのが正直なところだろう。

 

ただ、『シン・ウルトラマン』で不満だったレイアウトのつまらなさは払拭されており、庵野秀明監督の絵作りだけでも十分に楽しめるのは確かで……線路での本郷とルリ子の対峙や風車の回る海岸での会話、干潟に反射する朝日の中で立ち尽くす一文字、ラストの橋を走り去るサイクロン号といったシーンはそれだけでも再見したくなる出来なんだよなあ

つまらない締めになるが、庵野秀明監督の新作に期待、としか言いようがないね……

 

コートをたなびかせる仮面ライダーのビジュアルは本当に良かったので、フィギュアほしくなるのはしょうがない