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『イスラーム国の衝撃』メモ

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

イスラーム国の衝撃』、しばらく前に読み終わっていて、何か書こうかと思っていたものの、内容の深刻さに筆が進まなかった。
浅学上等で自分用のメモとして書いとこうと思う。


※概要が知りたい方は冬木さんの書評が適切にまとまってると思うのでどうぞ
イスラーム国の衝撃 (文春新書) by 池内恵 - 基本読書


宗教って悪なのかな


多少宗教を勉強してきた身としては、宗教には良い面も悪い面もあって、精神の救済もするけど十字軍みたいに虐殺略奪を正当化したり、オウムみたいなものも生み出すよね、なんて知ったふうなことを思っていたわけだ。それでも十字軍は過去のものだし、オウムはまあ例外、と。
それがイスラム教という三大宗教の一角が現在進行形で虐殺略奪の正当化に使われてるってのが「あ、これは擁護しきれないかも」となって勝手に悩んでいた。


自分はコーラン読んだことないし、イスラム教についても常識レベルの知識しかないから、池内先生のいうこと鵜呑みになるんだが、これだけ真摯な文章書く人が適当なこと言うわけないだろう。多分。

p172  「イスラーム国」が発する言説は、何かオリジナルな思想を主張することが目的なのではない。自らの権力奪取と支配を宗教的に正当化するために、イスラーム教徒が一般的に信じているか、あるいは強く反対できない基本的な教義体系から要素を自由自在に援用してくる。

アフリカのこの辺も参考
朝日新聞アフリカ特派員三浦記者による写真とレポート『子供にとって世界最悪の場所・中央アフリカの現実』 - Togetterまとめ


イスラム教の問題点


個人的には、「イスラーム国」の問題も先に貧富の差や民族問題なんかがあって、それを宗教が補強してしまっている、ということだと思ってる。
仮に宗教にそういう悪を促す側面があっても、「宗教なんて無くせ」と言って何かが変わるわけでなし、どう付き合うかが重要なのは間違いない。


ただイスラム教はこういう虐殺略奪や奴隷化を肯定する面があるし、それを批判して変わっていけるような仕組みになっていない。多分「イスラーム国」は早晩潰されるだろうけど、反グローバル化、反アメリカの旗印としてイスラム教を利用した第2第3のイスラム国が現れるのではないかと、読んでいて思わされた。


で、なんでキリスト教とかではこうならないのか、と考えたときのヒントになりそうな部分も引用しとこう。

p149 キリスト教では、「神のものは神へ、カエサルのものはカエサルへ」と政治と宗教の分離が定められ、ユダヤ教では、異教徒に支配されている状態を正常ととらえ、終末の日に正義がなされることが待望される。それに対して、イスラーム教は、ムハンマドが、メッカを逃れ、メディナで共同体の政治指導層として迎え入れられ、統治や軍事を司って、神の法を施行する側に立って発展していった。


つまるところイスラム教は『政教一致』が最善と考えていて、全人類がイスラーム教徒でかつ単一国家になるのが「教義上」正しいわけだ。


政教分離が当たり前だと思っている人間にはまずそこを理解するところから始めなければならない。そんなの時代遅れなんて言って訂正してくれる預言者やイスラーム学者が現れるか?原理主義者から殺されて終わりだろう。教義を見直してくれるムハンマドはもういない。教義を都合よく使う悪人が生まれるのを止める仕組みがないのだ。

じゃあどうすればいいのか

一番簡単なのは、みんな金持ちになるかして宗教なんかに興味を持たなくなることだろう。出来るかどうかは別として。出来ない以上第2第3の「イスラーム国」が現れるだろうと思えて暗澹たる気持ちになる。